基礎代謝、生活活動代謝、エネルギー必要量の計算方法!

人間は食べものから摂取した栄養素を分解し、生きるためのエネルギーを得ています。取り込んだ栄養素からエネルギーをつくることをエネルギー代謝といいます。

エネルギー消費量は基礎代謝量と生活活動代謝量の合計です。1日にエネルギーをどのぐらい必要とするのかを解説します。

基礎代謝

基礎代謝とは、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、体温を保つといった生命を維持するために最低限必要な代謝で、そのために必要なエネルギー量が基礎代謝量です。

摂取すべきエネルギー量を考えるうえで、まず把握しておきたいのが基礎代謝です。
基礎代謝は年齢、性別、体重によって異なります。

次の表は、年代別・男女別に、体重1kg当たりの基礎代謝量である基礎代謝基準値を示したものです。

基礎代謝基準値
*日本人の食事摂取基準を参考

自分の基礎代謝を求めるには、自分の年齢・性別の基礎代謝基準値に自分の体重を掛ければ算出できます。

基礎代謝量の求め方

例:

『25歳・体重60kg男性の基礎代謝』

24(基礎代謝基準値)× 60(体重)= 1440kcal

基礎代謝量を増やすには

『筋肉を増やす』

基礎代謝量のうち、一番エネルギーを消費するのは筋肉で、およそ20%とされています。残りのエネルギーは脳や消化器、循環器、泌尿器などの内臓で消費されます。内臓のエネルギー消費量は変わりませんが、筋肉はトレーニングで増やせますから、筋肉を増やすことで安静にしていても消費されるエネルギー量が増え、基礎代謝量も上げることができます。

『入浴・睡眠』

半身浴など、ぬるめのお湯に長くつかることで、血液循環をよくし、基礎代謝量を上げることが可能です。体温が1℃上がると、基礎代謝量が約13%増えるといわれますから、身体を温めることで基礎代謝量を上げることができます。

また、良質な睡眠をとるころも基礎代謝量を上げるために大切です。
睡眠時には、成長ホルモンが分泌され、身体のたんぱく質合成が進むので、筋肉をつくるためにも睡眠が重要になります。睡眠時間が短かったり、よく眠れないといった状態は、基礎代謝にはマイナスになることがあります。

生活活動代謝

人は、食事や仕事など生活していくうえで必要な活動をしなければなりません。それに必要なエネルギー消費量が、生活活動代謝です。

日常生活の活動内容の強度を、身体活動レベルとして「低い」「ふつう」「高い」の3つに分類し、数値化して、そのレベルから1日のエネルギーを求めます。

次の表は、身体活動レベルの数値と内容を記したものです。

身体活動レベル別にみた活動内容
*日本人の食事摂取基準を参考

エネルギー必要量

では、実際に1日に必要なエネルギー量はどのぐらいになるのでしょうか。
エネルギー消費量は「基礎代謝量」と「生活活動代謝量」の2つの合計です。

基礎代謝量に生活活動代謝を加えた1日のエネルギーが必要量は、自分の基礎代謝量に自分の身体活動レベルを掛ければ算出できます。

1日のエネルギーが必要量

例:

『25歳・体重60kg会社員男性の1日のエネルギー必要量』

1440(基礎代謝量) × 1.75(身体活動レベルⅡ)
2520kcal

スポーツ選手のエネルギー必要量

スポーツをする人の身体活動レベルは「高い Ⅲ」に当てはまります。

しかし、ハードな練習を日々重ね、試合でも身体を駆使するスポーツ選手は、それだけでは足りません。トレーニング量などを考慮して、適切なエネルギー必要量を求める必要があります。

  • 体脂肪を落とすことが目的であれば、摂取エネルギー量を減らし気味にします。
  • 筋肉量を増やしたいときは、*エネルギー収支をゼロより少し多めにします。摂取エネルギー量が不足すると、筋肉たんぱく質の合成が促進されないからです。ただし、摂取エネルギー量が多すぎると体脂肪になるので注意します。
  • 現状の身体を維持したい場合は、エネルギー収支がゼロであることが望ましいです。

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女性スポーツ選手

女性は体格が小さいだけでなく、脂肪が多いこともエネルギー消費量を少なくする要因です。筋肉1kg当たりのエネルギー消費量には男女差はほとんどありませんが、女性の体脂肪率は男性に比べて多いため、エネルギー消費量が下がります。
同一種目の場合は、女性は男性の80%~90%の範囲内になります。

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子ども(小中学生)

成長期のエネルギー量が加算されるので、スポーツ種目は考慮せず、身体活動レベルⅢ(高い)とします。

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*エネルギー収支
摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスのことです。