筋力トレーニングの頻度について解説します。
頻度を決めるためには、超回復やルーティーン方法についても理解する必要があります。トレーニング不足やオーバートレーニングを起こさないように、規則正しく筋力トレーニング頻度を設定しましょう。
目次
超回復とは?
筋力トレーニングをすると筋肉は一時的に疲労しますが、一定時間を空けることで筋肉は以前より高いレベルまで回復します。これを超回復といいます。
筋力トレーニング後、「48~72時間休養をとり、次のトレーニングを行う」ことを繰り返し行えば、筋肉は徐々に成長していきます。
トレーニング経験の浅い人や高齢者は、超回復に時間がかかりますが、トレーニング上級者になれば超回復の時間は短くなります。
超回復を起こすための条件
・トレーニング強度
超回復は、筋肉を破壊することによって、再生する過程で起こります。筋肉をしっかり破壊できる強度の筋力トレーニングが行わなければ超回復は期待できません。
・栄養補給
特に、筋肉をつくるためのたんぱく質の補給が重要になります。また、消費したグリコーゲンを補うための炭水化物、それらの合成を助けるビタミンやミネラルなど、バランスの良い栄養補給が必要です。
・休養・睡眠
超回復を起こすためには、48~72時間筋肉を休めることが必要です。また、睡眠は成長ホルモンの分泌を高め、筋肉の成長と回復を促します。
・積極的休養
ストレッチ、入浴、マッサージ、軽い有酸素運動を行って、筋肉の血流量を増加させ、疲労物質を除去しやすくします。
超回復のポイント
- 大筋群のほうが小筋群より回復に時間がかかる
- 高強度トレーニングのほうが低強度トレーニングより回復に時間がかかる
- エキセントリックトレーニングのほうが回復に時間がかかる
- トレーニングの継続によって超回復の時間は縮められる
- 年齢、トレーニング歴によって超回復の時間は異なる
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スプリットルーティン
筋力レベルが上がると、トレーニング強度やボリュームが増すので、1回で全身の筋肉を鍛えることができなくなります。
そこで、部位ごとに分けてトレーニングをすれば、各部位で時期をずらして超回復を起こすことができるので効果的にトレーニングが継続することができます。
全身の筋群を2つ、または3つの部位に分割し、各部位を別々の日にトレーニングしていく方法を「スプリットルーティーン」といいます。
トレーニングの週頻度は増加しますが、各筋群のトレーニング回数は変わらないので、各部位が超回復するための十分な時間をとって強度・ボリュームともに高いレベルのトレーニングができます。
分割法は、一般的に2種類あります。2分割する方法と3分割する方法です。競技や目的によって適正が異なるので、自分に合った分割方法を選んでトレーニングを行いましょう。
また、週基準(7日間)で分割すると日数に余りが出てしまうので、月基準(30日間)を4週28日+2日調節として分割することをおススメします。
2分割:① 上半身・下半身
上半身の日と下半身の日に分けて、半身ごとに2日(48時間)の休養をとって行います。一般的な分割法で、初心者から上級者まで幅広く使われています。
- 腹部のトレーニングは重要度も高く、回復が早いので毎回行います。
2分割:② 押す力 (プッシュ系)・引く力 (プル系)
押す力を発揮する種目の日と引く力を発揮する種目の日に分けて、各トレーニングごとに2日(48時間)の休養をとって行います。より全身の筋肉をバランスよく鍛えることが可能です。
- 押す力(プッシュ系)の筋群は、大胸筋、上腕三頭筋、肩、大腿四頭筋、臀部などです。
- 引く力(プル系)の筋群は、背筋、上腕二頭筋、肩、ハムストリングスなどです。
- 腹部のトレーニングは重要度も高く、回復が早いので毎回行います。
3分割:③ 上半身 (押す力)・上半身 (引く力)・下半身
上半身の押す力を発揮する種目の日、上半身の引く力を発揮する種目の日、下半身の日に分けて行います。
- 押す力(プッシュ系)の筋群は、大胸筋、上腕三頭筋、肩などです。
- 引く力(プル系)の筋群は、背筋、上腕二頭筋、肩などです。
- 下半身は押す力(プッシュ系)がほとんどなので、分割しません。
- 腹部のトレーニングは重要度も高く、回復が早いので毎回行います。
ダブルスプリットルーティン
1日に2回トレーニングを行うことをいいます。
トレーニング頻度が上がるので、その分効果も上がります。また、一定期間に集中的にトレーニングを凝縮することによって、時間効率よく目的を達成することができます。
しかし、疲労度も急激に増加するので注意も必要です。上級者や目標期日がハッキリ決まっている場合におススメです。
ダブルスプリットルーティーンのメリット
・筋肥大効果が高い
筋肉にかかる負荷が大きくなるので、筋肥大しやすくなります。
・減量効果が高い
トレーニングのボリュームが多いので、エネルギー消費量も増加し、減量しやすくなります。
・トレーニングスキルの向上
トレーニング時間が増えるので、各種目のスキルが磨かれます。
ダブルスプリットルーティーンのデメリット
・怪我をしやすい
疲労度が高いので、怪我のリスクが上がります。
・精神的疲労
肉体的疲労から、精神的疲労やモチベーションダウンを引き起こすことがあります。
ダブルスプリットルーティーンの注意点
・徹底した自己管理が必要
トレーニング量が増えるので、栄養や睡眠をしっかりとらなければ、超回復が得られず逆効果になってしまう可能性があります。また、エネルギー不足に注意しなければ、筋肉の分解を助長することになってしまいます。
・1日に同じトレーニングを繰り返さない
筋疲労によるトレーニング効率低下を防ぐために、同一の筋群のトレーニングは避けます。
・トレーニング時間の間隔を空ける
身体を十分に回復させるために、1回目と2回目のトレーニングの間隔を6時間以上空けましょう。
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まとめ
筋力トレーニングの効果は、トレーニング、栄養、休養の3つの要素が揃ってはじめて生まれます。その3つの要素を十分にバランスよく行えるトレーニング頻度が最適といえます。
最適なトレーニング頻度によって筋力が増加するのに対して、長すぎるトレーニング間隔は筋力の停滞を招き、短すぎるトレーニング間隔は筋疲労の蓄積によるオーバートレーニングを引き起こします。
超回復の周期とトレーニング頻度を合わせることを意識してトレーニング頻度を設定しましょう。