柔軟性を高めるトレーニングは、関節を大きく動かして、筋肉、腱、靱帯などを十分に伸ばす「ストレッチ」によって行われます。
柔軟性トレーニングの種類、効果や注意点、そして柔軟性に影響を及ぼす要因ついて解説します。
目次
柔軟性とは
体力要素のひとつであり、筋肉と腱が伸びる能力のことです。
柔軟性は、スポーツにおけるパフォーマンス向上や怪我の予防に関係しており、正常な可動域全体で自由に動作するために大切な能力です。
柔軟性が高いということは、それだけ関節が動く範囲が広いということであり、さまざまなメリットがあります。しかし、柔軟性が高ければ高いほど良いわけではなく、それぞれの競技や目的にあった柔軟性を理解することが重要です。
柔軟性トレーニングにはさまざまな良い効果があるので、アスリートだけでなく一般の人も積極的に日常生活に取り入れることが大切です。
柔軟性の種類
柔軟性とは関節の可動域と筋肉や腱の伸張性のことを指し、動的柔軟性と静的柔軟性の2つに分けられます。
柔軟性トレーニングでは、動的柔軟性と静的柔軟性の両トレーニングを複合的に行うことが勧められています。
動的柔軟性
動的柔軟性とは、関節可動域における「動きやすさ」や「動きのしなやかさ」を指します。動きの中で求められる身体の柔らかさで、スポーツにおける怪我の予防やパフォーマンス向上に必要な能力です。
動的柔軟性を高めるために、一般的にダイナミックストレッチが行われます。
静的柔軟性
動きを伴わない柔軟性のことで、すなわち「身体の柔らかさ」です。「関節可動域」やその可動域を維持することを指します。一般的に「身体が柔らかい」と言われるのは静的柔軟性のことで、怪我の予防や柔軟性向上に必要とされています。
静的柔軟性を高めるために、一般的にスタティックストレッチが行われます。
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弾性と可塑性
柔軟性トレーニングは、弾性と可塑性の2つの異なる性質に対応して行われるべきです。筋肉には弾性の特性しかありませんが、腱や靭帯は弾性と可塑性の両方の特性を持ちます。
ストレッチなどで筋肉・腱・靭帯が伸ばされると、弾性的要素と可塑的要素が作用します。そして、元に戻すと弾性的な伸長は回復しますが、可塑的な伸長は保たれます。
つまり、ストレッチを続けることで可塑的な伸長を高められるので、柔軟性が高まっていきます。
弾性
弾性とは、伸長された後に最初の静止時の長さに戻る性質のことであり、一時的に長さが変化する性質のことです。筋肉、腱、靭帯がこの特性を持っています。
ゴムやバネと同じように、伸びた後に元の長さに戻るイメージです。
可塑性
可塑性は、伸長された後でもそのまま伸張された長さを保つ性質のことです。腱、靭帯のみがこの特性を持っており、筋肉には可塑性はありません。
粘土やスライムと同じように伸ばした後、元に戻らずそのまま長さが残るイメージです。
関節可動域を永続的に増加させることを目標として柔軟性トレーニングを行う場合、主に可塑的な変化を起こすために計画されるべきです。
深部体温が高い状態でやや張りを感じるところまで伸ばし、一定時間保持することによって可塑的な伸張が高まります。
柔軟性トレーニングの効果
・怪我しにくい身体になる
柔軟性が不十分であることによって関節や筋肉が硬くなると、動きに支障をきたし身体に必要以上の負担がかかるので、筋肉や腱を傷つけるリスクがあります。
柔軟性トレーニングで関節や筋肉が柔らかくなり、可動域を広げれば、不意に起こる衝撃を吸収したり受け流すことができるので、関節可動域を超えて起こる捻挫や肉離れなどの怪我を予防することができます。
・スポーツにおけるパフォーマンス向上
柔軟性トレーニングで関節可動域を広げることによって、さまざまな動作スキルを高めことができます。正常な可動域全体で関節を自在に動かすことが可能になるので、非効率な動きがなくなりパフォーマンス向上ができます。
・運動中の傷害予防
運動前のウォーミングアップで柔軟性トレーニングを行うことで、血流量を増加させ体温を上げながら関節可動域を高めることができます。
・疲労回復・リラックス
運動後は筋肉に疲労物質が溜まっています。ストレッチによって筋肉の緊張を和らげ、血流を良くすることで疲労物質を早く排出させ疲労回復を早めることができます。
また、ストレッチを行うことで副交感神経が活性化し、心身ともにリラックスできます。
柔軟性に影響を及ぼす要因
① 関節の構造
関節の構造は人によって異なるため、柔軟性にも個人差があります。
② 関節弛緩性
生まれつき関節が緩く、関節の可動域が正常の範囲を超えている人がいます。そのような人はトレーニング前に医療機関による診断を受けてもらうことが必要です。
③ 年齢
平均的に10代をピークに柔軟性は徐々に失われていきます。柔軟性の低下は筋肉の弾力性が徐々に失われることが原因といわれています。
④ 性別
一般的に男性より女性のほうが柔軟性が高いです。体幹、股関節および足関節に最も大きな男女差がみられます。
⑤ 温度
深部体温、または外部温度の上昇は可動域に有効に働きます。
⑥ 身体活動レベル
活動的な人のほうが柔軟である傾向があります。身体活動レベルの低下により、体脂肪率が増加し柔軟性が低下します。さらに、体脂肪の増加は関節周囲の付着物となり可動性を妨げます。
⑦ 筋力トレーニング
高負荷で、関節可動域全体よりも狭い範囲で筋力トレーニングを続けることによって、柔軟性を低下させます。筋肉量の過度な増加が原因で起こるものではなく、関節周囲の筋肉の不適切な発達が関節の動きを制限することが原因とされています。柔軟性を失わないためにも、筋力トレーニングは関節の可動域全体で行い、主働筋と桔抗筋の両方を発達させるように計画されるべきです。
柔軟性トレーニングの注意点
① 柔軟性が高ければ高いほど、スポーツにおけるパフォーマンスに好影響を与えるとは限りません。競技に合わせた適切な柔軟性が求められます。
② 柔軟性トレーニングの目的は、関節の安定性が失われるところまで可動域を広げさせることではなく、より効率的な動作コントロールができるための、柔軟性と結びついた筋力を向上させることです。
③ ウォーミングアップと柔軟性トレーニングは同じではありません。ウォーミングアップは筋温の上昇だけではなく、身体全体の体温を上昇させる活動であり、活発な運動を行うための準備です。柔軟性トレーニングはウォーミングアップやクールダウンの一部として用います。
④ 柔軟性トレーニングは、深部体温を十分に上昇させた後で行います。血流が少なく冷えている状態の筋肉は、ストレッチによっても損傷を受けやすくなっています。
⑤ 筋肉が伸びやすくなるために、柔軟性トレーニング中は呼吸を止めないようにします。
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まとめ
柔軟性トレーニングは、大きなエネルギーを使うことなく行うことができるので気軽に続けられます。健康維持のためにも習慣的に行うことをおススメします。
また、スポーツ選手はウォーミングアップやクールダウンの一部として柔軟性トレーニングを行えるほか、競技によっては柔軟性の高さがとても重要となる場合もあります。そして、怪我の予防にも大きく関係しているので、軽視せずに真剣に取り組む必要があります。
柔軟性トレーニング=ストレッチと考えてもいいです。ストレッチにもさまざまな種類があるので、目的やレベルに合わせたストレッチの種類についても理解すると、より柔軟性が上がります。