ランニングの正しい強度設定!心拍数やキツさの度合いが鍵!

ランニングなど、有酸素運動を行う場合は、目的とレベルに合わせた運動強度を設定することが必要です。
心拍数や主観的運動強度(PRE)を使った運動強度の設定方法について解説します。

目標心拍数を設定する

ランニングでは、心拍数を計測・管理することがとても重要になります。
走るときの心拍数によって得られる効果が変わるので、目的に合わせて正しい心拍数で走ることが求められます。

心拍トレーニング

心拍トレーニングは、心拍数を運動強度の指標として行います。

運動強度と心拍数は比例関係にあるので、運動強度が上がれば心拍数も増加します。
心拍数を把握することによって運動強度を数値化できるので、目標を明確にしてトレーニングすることができます。

心拍数は個人差があるため、自分自身の目標心拍数を設定する必要があります。

心拍ゾーン

ランニングで得られる効果は、心拍数によって大きく変わります。一般的に心拍数のゾーンは最大心拍数(220ー年齢)に対して5つに分けられます。
心拍ゾーンを知ることで、目的や能力に合わせて運動強度(%)を設定することができます。

カルボーネン法による目標心拍数の設定

心拍トレーニングでは、心拍予備量から目標心拍数を設定をするのが一般的です。そこで、年齢や安静時心拍数から目標心拍数を算出する「カルボーネン法」が使われます。

「心拍ゾーン」を参考にして目標とする運動強度(%)を決めて、「カルボーネン法」を使って最終的に目標心拍数を設定します。

目標心拍数の計算方法

 目標心拍数=(220ー年齢ー安静時心拍数)×運動強度+安静時心拍数 

『例』
25歳、安静時心拍数60、脂肪燃焼(70%)が目的の人の場合
(220ー25ー60)× 70% + 60 = 154.4
目標心拍数=154拍/分

心拍数から運動強度を求める

カルボーネン法を応用して、運動時の心拍数から運動強度を求めることもできます。
自分がどのぐらいの強度で運動していて、どのような効果が得られているのかを知ることができれば運動効率が上がります。

運動強度の計算方法

運動強度(%)=(運動時心拍数ー安静時心拍数)÷(220ー年齢ー安静時心拍数)×100

『例』
25歳、安静時心拍数60、運動時心拍数が170拍/分 の場合
(170-60)÷(220-25-60)×100=81.4
運動強度=81%

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主観的運動強度(PRE)

心拍数はトレーニングごとに管理するのが難しく、最大酸素摂取量(VO₂MAX)やLT値(乳酸性作業閾値)の測定は時間やコストがかかるので、現実的には運動強度の設定として活用できないケースが多いです。

そこで、器具などを使わずに、簡単に個人の「キツさ」の度合いを点数化する方法があります。それを主観的運動強(PRE)といい、運動をする本人がどのぐらいキツいのかを主観的に示します。

「キツさ」の度合いを、「安静状態=6」、「最もキツい状態=20」で表します。数字を10倍にすると、20歳成人を対象にしたときの各度合の心拍数になるように設定されています。

また、主観的運動強度(PRE)の13がAT値(無酸素性作業閾値)の目安と考えられ、有酸素運動と無酸素運動の境界線の指標になります。

主観的運動強度(PRE)と心拍数の関係

主観的運動強度(RPE)と心拍数には密接な関係があり、心拍数と併用して活用すると精度が上がります。心拍数は体調や気温などにも影響され、個人差もあるので、自分の「キツさ」の感覚というものがより正確な運動強度になる場合があります。

ランニング中の心拍数の推移と、そのときの主観的運動強度(PRE)を常に確かめておくことによって、いずれはランニング中に心拍数を随時確認しなくても、自分の感覚から運動強度を把握できるようになります。
楽な運動からキツい運動まで段階的に強度を上げていって、そのときの心拍数と主観的運動強度(PRE)の関係を記録することをおススメします。

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まとめ

走る速さによって使われる筋繊維や、エネルギー源となる成分が変わってきます。
速く走れば走るほど、白筋繊維(速筋)が動員され、糖がエネルギー源として使われるようになり、ゆっくり走るほど赤筋繊維(遅筋)が動員され、脂肪がエネルギー源として使われます。

筋繊維の種類やエネルギー代謝はどちらが優れているというものではなく、どちらも必要なので、競技や目的に合わせてトレーニングをすることが必要です。

「速ければ速いほど良い、キツければキツいほど効果がある」という考え方は捨てて、心拍ゾーンを理解して正しく目標心拍数を設定しましょう。また、心拍数には個人差があり、ストレスや環境によっても変化しやすいので主観的運動強度(PRE)も同時に活用してトレーニングをするとより効果的です。

初心者、高齢者や生活習慣病の改善を目的にしている人は、主観的運動強度(PRE)11~13を基準に行いましょう。