クロストレーニングって何…?5W1Hでお答えします!

長年1つの競技を専門的に行っていると、思ってもいない弊害が起きたり、筋力に極端に偏りがでてしまいます。それらを改善するためにクロストレーニングが有効になります。クロストレーニングはいつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのように行うのか、簡潔に説明していきます。

クロストレーニングとは?

アスリートが自分の専門種目以外のトレーニングを行うことです。
理想的なトレーニングは、専門性と全面性がバランス良くとれていることですが、実際のトレーニングでは、種目によって必要な体力が異なるので、どうしてもトレーニング内容が偏りがちになります。

そこで、クロストレーニングによって専門種目で使わない体力を幅広く鍛えたり、専門種目と全く逆の種目を行ったりしてパフォーマンスのさらなる向上を目指すことができます。また、同じパフォーマンスの繰り返しによる「オーバーユース」を軽減し、スポーツ傷害の予防にもつながります。

「いつ?」クロストレーニングを行うのか…

一般的なアスリートの1週間のスケジュールとしては、「専門トレーニング」を5日間、休養を1日、アクティブレスト(積極的休養)を1日、となるのが望ましいが、そのアクティブレスト(積極的休養)の日に専門カテゴリーとは異なるスポーツや運動を楽しみながら行えば、パフォーマンスの改善につながるだけではなく、気分転換にもなります。海外では、多くのスポーツでシーズンオフの時期にクロストレーニングが多用されています。オフシーズンに、さまざまな種目を取り入れれば、体力の全面的な向上が期待できます。

「どこで?」クロストレーニングを行うのか…

クロストレーニングは、どこでも行うことができます。自分の専門種目とは別の運動で、特別なスキルや施設が必要にならないような、簡単にできるトレーニングを選択します。
自分の専門種目に支障がでないように、怪我のリスクを避けて安全にトレーニングできる環境が必要です。例えば、クロストレーニングでランニングを行う場合は、アスファルトなど固い地面で不慣れなランニングをすると関節を痛めて自分の専門種目に悪影響が出兼ねません。あくまで補助的なトレーニングなので無理のない状況下で行うことが大前提です。

「誰が?」クロストレーニングを行うのか…

誰でもクロストレーニングを行うことができますが、運動初心者や育成年代では自分の専門種目のレベルアップを最優先させることが必要です。
逆に、特にアスリートやプロ選手は積極的にクロストレーニングを行うことをおススメします。計画的に行うことで、パフォーマンスの改善、オーバーユースの予防、心身のリラックス効果など、さまざまベネフィットが期待できます。

クロストレーニングは「何を?」行うのか…

自分の専門種目の競技特性を参考に、どのようなクロストレーニングを行うのか決めていきます。補助的なエクササイズなので、ランニング、ジョギング、エアロビスク、水泳、アクアエクササイズ、筋力トレーニングなど、単純で取り組みやすい運動を選びます。大切なことは、集中しすぎずリラックスして楽しみながら行うことです。

「なぜ?」クロストレーニングを行うのか…

多くのスポーツでは、特定の動きをするため、一部や一片だけの筋肉を使うことが多くなってしまいます。例えば、サッカーでは走ったり、ボールを蹴ったりと下半身を使う動作が圧倒的に多く、上半身はあまり使わなくなってしまいます。そこで、自分の専門種目では普段鍛えられない体力要素を鍛えるために、普段とは違う身体の使い方をするクロストレーニングを行って、フィットネスレベル全体の底上げをします。また、同じ動作が繰り返されることによって、一定の身体の部位の大きな負荷がかかる「オーバーユース」を予防するためにも効果的です。

「どのように?」クロストレーニングを行うのか…

専門種目別のクロストレーニング実施例

実施例①
種目:サッカー、野球、陸上短距離、柔道、レスリングなど
特徴:瞬発的な力を発揮するため関節にストレスがかかる
推奨されるクロストレーニング:関節運動がゆっくりな運動
クロストレーニング例:水泳、アクアエクササイズ

実施例②
種目:水泳
特徴:骨に負荷がかからない
推奨されるクロストレーニング:体重負荷がかかる運動・筋力を使う運動
クロストレーニング例:ランニング、プライオメトリックトレーニング

実施例③
種目:ウエイトリフティング、投てき、跳躍など
特徴:1回の運動が短時間
推奨されるクロストレーニング:長時間運動・有酸素運動
クロストレーニング例:ジョギング、エアロバイク、エアロビクス

実施例④
種目:卓球、テニス、バドミントンなどのラケット競技
特徴:ゲーム中心になりがちで使う筋群が限られる
推奨されるクロストレーニング:全身の筋肉を使う運動
クロストレーニング例:筋力トレーニング、サーキットトレーニング

実施例⑤
種目:アーチェリー、カーリングなど
特徴:精神的緊張が強い
推奨されるクロストレーニング:精神的にリラックスできる運動
クロストレーニング例:ウォーキング、ジョギング

まとめ

クロストレーニングは、直接的に専門種目のパフォーマンスを変えるものではありませんが、間接的には必ず好影響をもたらせてくれるものなので、積極的に取り入れていくとよいでしょう。更なるパフォーマンス向上を目指すためには、計画的にクロストレーニングを行っていくとより効果があります。