筋肉や骨、血液を強化するための栄養と食事について解説します。
目次
食事方法
特にアスリートの練習期は、運動強度も高く、運動量も多い傾向にあります。その場合、必要なエネルギー量や栄養素はもちろん増えます。
考え方としては、食事の1回分の量を増やすか、*補食を加えるかして、必要なエネルギー量が摂れるようにします。
吸収やタイミングを考えると、単純に1回の食事量を増やすだけでなく、捕食を取り入れることが理想です。
*補食
捕食はおやつではありません。捕食で選手が必要な栄養素を摂ることで効率よく身体をつくることができます。
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朝食の重要性
朝食は、運動するしないに関わらず食べることがすすめられています。私たちの身体には「時計遺伝子」が組み込まれていて、1日の生活リズム(概日リズム)を正しく刻んでいます。
朝に日光を浴びて食事を摂ると時計遺伝子のスイッチが入り、体内時計のリズムが整います。さらに、朝食には身体へのエネルギー補給や便通の改善、肥満予防などのメリットもあります。
選手にとっては、朝食を摂らないということは、食事回数が1回減ることになり、効果的に身体をつくることができません。朝食は、選手の栄養補給のタイミングとしても絶対に必要なものです。
筋肉に必要な栄養素
まず、たんぱく質が必要です。練習強度が高く、量も多くなれば、たんぱく質の必要量は増えます。また、成長期の場合も多く必要になります。
アレルギーでない場合、これらを毎日すべて摂るようにします。
鶏ササミだけ、卵の白身だけ食べる、というような食べ方はさけます。偏った摂り方をしてしまうと、例えば、たんぱく質は摂れても、ビタミンやミネラルなどの他の栄養素が不足してしまうからです。
また、筋肉づくりには成長ホルモンが関係します。成長ホルモンは、運動後や睡眠時に分泌され、筋肉づくりを促進します。運動後や睡眠前の食事でたんぱく質を摂るというタイミングもポイントです。
子どものたんぱく質必要量
たんぱく質を多く含む食材
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骨に必要な栄養素
骨にはカルシウムだけでなく、たんぱく質、ビタミンⅮなども必要です。
カルシウム
成人のカルシウムの1日の必要量の目安は、650mgです。
カルシウムを多く含む食材は次の通りです。
ビタミンD
成人の1日の必要量の目安は、5.5μgです。
ビタミンⅮを多く含む食材は次の通りです。
リン・マグネシウム
カルシウムの吸収は、リンやマグネシウムの影響を受けます。
『リン』
成人の1日の必要量の目安は、男性1000mg、女性800mgです
肉、清涼飲料水、食品添加物などに使われていて、こういったものを多く摂る人は、リンを多く摂り過ぎるおそれがあります。リンを摂り過ぎるとカルシウムの吸収が落ちるため、注意が必要です。
カルシウムの吸収にはリンが必要ですが、リンはどちらかといえば、摂り過ぎの傾向があります。そのため、「摂る」ではなく、「摂り過ぎない」という意識を持つことが必要です。
リンを多く含む食材は次の通りです。
『マグネシウム』
成人の1日の必要量の目安は、男性370mg、女性290mgです
現代の食事では不足しがちな傾向にあります。さらにマグネシウムは、ストレスによっても必要量が増え、筋肉の収縮にも必要なので、意識して摂りたい栄養素です。
マグネシウムを多く含む食材は次の通りです。
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血液に必要な栄養素
貧血においては、疲労や頭痛、動悸、耳鳴りなどの症状が起こります。
アスリートのスポーツ貧血は、女性で22.5%、男性で7.5%の出現率という報告もあります。つまり、女性アスリートは5人に1人の高い割合で貧血の場合があるのです。
原因には、次のようなことが挙げられます。
- 減量による栄養不足
- *溶血
- 筋肉の損傷や肥大による鉄需要の増大
血液中の赤血球は、平均寿命が120日で、毎日約1%がつくり替えられています。また、発汗によっても鉄は失われるため、発汗量が多いときはさらに意識して摂らなければいけない栄養素です。
*溶血
赤血球が壊れるなどして、どんどん減っていく現象です。新しい赤血球の生産が追いつかないために起こる貧血を溶血性貧血といいます。アスリートの場合は、運動により足の裏を打ちつけたりすると、毛細血管内の赤血球がつぶれたりします。
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鉄
鉄は吸収率があまりよくありません。
肉や魚介類などに含まれるヘム鉄の吸収率は10%~20%です。
野菜、豆、卵、乳製品などに含まれる非ヘム鉄は数%しか吸収されません。
ビタミンCやたんぱく質、クエン酸を摂ることで、吸収率をあげます。
成人の1日の必要量の目安は、男性7.5mg、女性10.5mgです。
鉄を多く含む食材は次の通りです。