脂質は身体に必要な栄養素ですが、良い脂質と悪い脂質があります。脂質の種類や役割について解説します。
脂質の役割
脂質は中性脂肪やコレステロールなどの総称です。
脂肪1g当たり約9kcalのエネルギーとなります。
通常、脂肪とういと中性脂肪を指します。蓄えられた脂肪はエネルギーとして使われ、*細胞膜の成分や代謝をコントロールするホルモンの材料にもなります。
また、体温を保つ断熱材にもなりますし、皮膚を保護する役割もします。
*細胞膜
ひとつひとつの細胞の表面の膜。主にたんぱく質と脂質からできています。
中性脂肪
食品に含まれる脂質のほとんどは、中性脂肪です。主に、身体を動かすためのエネルギー源として使われ、余った分は脂肪細胞に蓄積されます。摂りすぎると体内に脂肪が溜まってしまい、肥満の原因になります。
蓄えられた中性脂肪は必要に応じて分解され、筋肉や肝臓などでエネルギー源として利用されます。この分解されて効率的に使える脂質を遊離脂肪酸といいます。エネルギーが必要となる運動時には、脂肪細胞は遊離脂肪酸となって消費されます。
≪合わせて読む↑≫
コレステロール
人体の組織の細胞膜や*ステロイドホルモン、脂肪の消化を助ける*胆汁酸の成分として欠かせません。
ステロイドホルモンには、副腎皮質ホルモンと性ホルモンがあります。そのなかのホルモンの*テストステロンは、たんぱく質の合成を促進する働きがあり、筋肉の成長にも関わっています。
*ステロイドホルモン
ステロイド核をもつホルモンで、副腎皮質ホルモンと性ホルモンがあります。エストロゲンやテストステロンなどが代表的です。
*胆汁酸
胆汁の主成分で、肝臓でコレステロールから合成されます。脂肪を乳化して、脂肪の消化を助けます。
*テストステロン
雄性ホルモンの一種。精巣から分泌されるステロイドホルモンで、第二次性微の発現を促す。
脂質の種類
脂質には、肉の脂身やバターなど常温で固体の油(飽和脂肪酸)と、魚の油や植物油など常温で液体の油(不飽和脂肪酸)があります。
肉は良質なたんぱく質資源ですが、血液中の中性脂肪やコレステロールを増やす飽和脂肪酸を多く含んでいます。
魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、オリーブ油や菜種油などのなどの不飽和脂肪酸は、血液中の中性脂肪やコレステロールを減らし、動脈硬化の原因となる血栓を防ぐなどの作用があります。
また、近年問題視されているのが、加工食品に含まれるトランス脂肪酸です。天然の食品にもわずかに存在しますが、油脂を加工・精製する工程で比較的多くできます。
マーガリンやショートニング、それらを原材料に使っているパン、ケーキ、揚げ物などに含まれています。
トランス脂肪酸の過剰摂取は、体脂肪を増やしたり、心臓病のリスクを高めるといわれています。
DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸の1日の摂取量の目安は、成人男性で2,000mg、成人女性で1,600mgとされています。
主な食用油の特徴
脂肪酸の特徴
脂肪酸のうち、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、DHA、EPAを必須脂肪酸といいます。
必須脂肪酸は、化学構造の違いによってn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸に分けられます。これらは体内で合成することができず、不足すると発育不全や皮膚炎などを引き起こすため、食事から摂らなければいけません。
飽和脂肪酸とn-9系脂肪酸は体内で合成できます。