たんぱく質の役割や効率の良い摂り方などを解説します。五大栄養素の1つで身体づくりに重要な栄養素です。
目次
たんぱく質の役割
たんぱく質1g当たり4kcalのエネルギーとなります。
内臓、骨、筋肉、皮膚、血液、毛髪、歯、爪など身体の組織のほとんどが、たんぱく質で作られています。
また、身体の機能を調節するホルモン、消化や代謝のために働く*酵素、病原体から身体を守るために免疫力を高める*リンパ液の成分などもたんぱく質でできています。
*酵素
食べ物を消化したり、糖質をエネルギーに変換するなど、体内におけるあらゆる化学反応を助ける物質で、たんぱく質からできています。
*リンパ液
人間の体内には血管のほかにリンパ管という細く柔らかい管がめぐっています。その中を流れる透明な液体をリンパ液といい、体内に侵入したウイルスや細菌などと戦う免疫細胞やたんぱく質成分(抗体)を含んでいます。
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たんぱく質の合成と分解
人間の身体は60兆個もの細胞が集まってできています。それらの細胞は常に古いものが壊され(分解)、新しいものにつくり替えられています(合成)。
つまり、細胞の成分であるたんぱく質も、細胞の集まりである組織のたんぱく質も常に分解と合成を繰り返しています。
身体のたんぱく質は、分解されると同時に、必要な量が合成されます。このようにして分解と合成のバランスが保たれています。
摂取したたんぱく質は、そのまま身体の組織になるわけではなく、消化吸収の過程でアミノ酸に分解され、血液によって全身の細胞に運ばれ、アミノ酸を材料に各組織に適合した新しいたんぱく質が合成されます。
たんぱく質は、アミノ酸が数珠状にいくつも連結してできています。
人体をつくるアミノ酸は20種類あり、その配列の違いや長さによって、身体に必要な膨大な種類のたんぱく質がつくられるようになります。
アミノ酸
たんぱく質の材料になるアミノ酸は20種類ありますが、そのうち9種類は必須アミノ酸といい、体内で合成できないため、食事から摂るしか方法がありません。
食事からは、必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品をとる必要があります。
必須アミノ酸以外の11種類は、非必須アミノ酸といい、体内で合成できます。ただし、身体のたんぱく質合成のためには十分にとる必要があります。
BCAA
必須アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの総称してBCAAと呼びます。
BCAAは筋肉のエネルギー源にもなるので、持久系のスポーツ選手には欠かせないアミノ酸です。肉やマグロなどの魚にも含まれています。
アミノ酸スコア
たんぱく質の栄養価を評価するものの1つにアミノ酸スコアがあります。
人体が必要とする必須アミノ酸の量と、食物中の必須アミノ酸の量を比較して、食物中の必須アミノ酸が人体の必要量をすべて超えていれば、アミノ酸スコアは100になります。100に近いほど、たんぱく質の栄養価は高くなります。
卵や肉類のほとんどは100となっています。
たんぱく質の摂り方
たんぱく質が多く含まれる食品は、肉、卵、大豆製品、乳製品ですが、それぞれに含まれるたんぱく質量は異なります。これらの食品のたんぱく質含有量を知り、バランスよくたんぱく質が摂取できるように食事の量や献立を決めることが大切です。
主な食材のたんぱく質含有量
*食品成分表を参考にした主な食材のたんぱく質の含有量(100g当たり)
*食品成分表
日本食品標準成分表といい、日本人が日常食べている食品の100g当たりのエネルギー量および栄養素のデータを収載しています。
摂取量
一般的に成人では、1日に体重1kg当たり約1gのたんぱく質が必要とされています。体重60kgの人なら60gです。
スポーツ選手の場合、筋力トレーニング時は1日に体重1kg当たり約1.7~1.8g、持久力トレーニング時は1日に体重1kg当たり約1.2~1.4gが目安とされています。
1回の食事で摂ったたんぱく質が吸収されるのは40g程度なので、回数を分けて、朝・昼・晩の3回の食事あるいは間食にも取り入れて、こまめに摂る方が効果的です。
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不足や過剰摂取
たんぱく質の不足は、
筋肉量の減少、体力や免疫力の低下を引き起こします。怪我をしやすくなり、感染病にもかかりやすくなります。
一方、たんぱく質の摂り過ぎは、
胃や腸などの消化器系の不調を招いたり、栄養素を利用できるように働く肝臓に負担をかけることになります。また、余ったたんぱく質を体外に排出するために尿をつくる腎臓にも負担をかけ、腎機能障害を引き起こすこともあります。
食事でたんぱく質がしっかり摂れているときに、プロテインやアミノ酸サプリメントを使うと、摂りすぎてしまうので注意してください。
1日に体重1kg当たり2gの摂取量を超えると、トレーニングによる効果が増えなくなるといわれています。