筋力トレーニングのセット法を、優先性の原則をもとに、シングルセット、マルチセット、ピラミッドセットに分けて解説します。
筋力トレーニングは、1セットだけでは十分な効果は得られません。複数セットを行うときの組み立て方にはバリエーションがあります。
セット法によって負荷のかかり方が変わってくるので、より効率的なセット法で目的に適したトレーニングをしましょう。
目次
プライオリティの原則
筋力トレーニングでは、大きな筋力を発揮する種目もあれば、局所的に筋力を発揮する種目もあります。また、目的によって重要度の高い種目があります。
効率よくトレーニングを行うために、種目を行う順番が非常に重要になります。そこで、「優先性の原則」を基準にセットを組みます。
原則:
大筋群から小筋群の順で行う
優先度:
➊ 重要度の高いトレーニング種目を優先する
➋ パワーとスピードを最も必要とする種目を優先する
➌ 大きな筋肉を使う種目を優先する
➍ 多数の筋肉を使う種目を優先する
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シングルセット
1種目をインターバルを挟みながら複数セット行います。
一般的に使われるセット法で、初心者から上級者まで幅広く用いられています。技術を正確にマスターしたい場合や、最大筋力を高めたい場合に有効です。
マルチセット
複数の種目を連続して行って1セットとして、インターバルを挟みながら複数セットを行うセット法です。
時間的効率を高めるだけでなく、より強い刺激を筋肉に与えることができます。
マルチセット法にはいくつかの組み合わせがあります。
スーパーセット
互いに拮抗する筋群(主働筋と拮抗筋)を強化する2種目を連続して行い、それを1セットとしてインターバルを挟みながら複数セット行います。
拮抗した筋群をバランスよく鍛えることができます。
*例
トレーニング A:大胸筋(チェストプレス)
トレーニング B:広背筋(ラットプルダウン)
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コンパウンドセット
互いに共同する筋群(主働筋と共働筋)を強化する2種目を連続して行い、それを1セットとしてインターバルを挟みながら複数セット行います。
1つの筋群を重点的に鍛えることができます。
*例
トレーニング A1:大胸筋(プッシュアップ)
トレーニング A2:上腕三頭筋(ディップス)
ジャイアントセット
同じ筋群(主働筋)を強化する4種目以上を連続して行い、それを1セットとしてインターバルを挟みながら複数セット行います。
1つの筋群をより集中的に鍛えることができます。
*例
トレーニング A1:(大胸筋)ベンチプレス
トレーニング A2:(大胸筋)ダンベルフライ
トレーニング A3:(大胸筋)チェストプレス
トレーニング A4:(大胸筋)ペックフライ
サーキットセット
各筋群を強化する8~10種目をインターバルをほとんど挟まずに連続して行い、それを1セットとして複数セット行います。
全身の筋群をバランスよく鍛えることができます。また、筋持久力や心肺機能も強化にも効果があります。
*例
トレーニング A:大腿筋(スクワット)
トレーニング B:大腿筋(バックラン)
トレーニング C:大腿筋(サイドラン)
トレーニング D:大胸筋(プッシュアップ)
トレーニング E:広背筋(ローイング)
トレーニング F:肩(サイドレイズ)
トレーニング G:腹筋(シットアップ)
トレーニング H:起立筋(バックエクステンション)
ピラミッドセット
同じ筋群(主働筋)を強化する種目を1セットごとに負荷強度・反復回数を変化させ、インターバルを挟みながら複数セット行います。軽い負荷から重い負荷に上げていき、頂点に達したら負荷を下げていきます。
筋肥大と筋力向上に効果がある、強度の高いセット法です。
また、身体を慣らしながら軽い負荷からセットを進められるため、高重量が扱いやすくなります。
*例)最大筋力(100%)が負荷80KGの場合
1セット目:60KG・10回
2セット目:64KG・ 8回
3セット目:68KG・ 6回
4セット目:72KG・ 4回
5セット目:64KG・限界まで
6セット目:56KG・限界まで
アセンディング・ピラミッド
同じ筋群(主働筋)を強化する種目を1セットごとに負荷強度を上げていき、逆に反復回数は減らしていき、インターバルを挟みながら複数セット行います。
「少しずつ負荷を上げながら追い込んでいく」というイメージです。
神経系の能力が高まるので、最大筋力の向上に高い効果があります。
*例)最大筋力(100%)が負荷80KGの場合
1セット目:56KG・12回
2セット目:60KG・10回
3セット目:64KG・ 8回
4セット目:68KG・ 6回
5セット目:72KG・ 4回
6セット目:76KG・ 2回
ディセンディング・ピラミッド
同じ筋群(主働筋)を強化する種目を1セットごとに負荷強度を下げていき、反復回数は各セット「限界」まで行い、インターバルを挟みながら複数セット行います。
「少しずつ負荷を下げながら追い込んでいく」というイメージです。
筋繊維に強力な刺激を与えられることから、筋肥大に高い効果があります。
*例)最大筋力(100%)が負荷80KGの場合
1セット目:72KG・限界まで
2セット目:68KG・限界まで
3セット目:64KG・限界まで
4セット目:60KG・限界まで
5セット目:56KG・限界まで
6セット目:52KG・限界まで
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まとめ
筋トレのセットシステムにはさまざまな組み合わせがあります。
まずはシングルセットをベースにセットを組み立てることをおススメします。シングルセットで動作を完璧に習得し、慣れてきたらステップアップとしてマルチセットを徐々に取り入れていきましょう。
スポーツ選手は筋肉のバランスが大事なので、シングルセットとスーパーセットを取り入れて、特異的な身体づくりの場合はシングルセットとコンパウンドセットを取り入れると時間効率よくトレーニングの成果がでます。
また、ジャイアントセットとサーキットセットは疲労度が大きく危険性も高まるので上級者になってから始めましょう。
プライオリティの原則を理解して、目的に適したセットシステムを組み、効果的に筋力トレーニングしましょう。