身体のエネルギー源となる重要な栄養素である炭水化物(糖質・食物繊維)の役割と摂り方について解説します。
目次
糖質と食物繊維について
糖質と炭水化物はよく混同して使われていますが、厳密には異なります。
炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものをいいます。
炭水化物には糖質と食物繊維があります。糖質はエネルギー源として働きます。食物繊維はエネルギーとしてはほとんど利用されませんが、腸内環境の改善など、体調を整えるために欠かせない栄養素です。
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糖質
体内で消化・吸収されてエネルギー源として働き、1g当たり約4kcalです。
お米やパン、麺類などの主食となる食品や、いも類、果物などに多く含まれています。主要なエネルギー源で車に例えると、ガソリンの働きをしています。
糖質には、ブドウ糖、果糖、ショ糖、乳糖、でんぷんなどがあります。
『ブドウ糖(グルコース)』
穀物、果物、ハチミツなどに多く含まれています。糖質の中では最も速く消化・吸収され、すぐにエネルギー源として利用できます。
血液中のブドウ糖の量は、血糖値として示されます。食事をすると血糖が増え、血糖値は上がりますが、*インスリンの働きにより、数時間後には血糖値は下がります。
『でんぷん』
人が食べる糖質の大半は、穀物やいも類に含まれるでんぷんです。体内に入ったでんぷんはブドウ糖に分解され、血液中に溶けて全身のあらゆる細胞に取り込まれます。
身体のエネルギー源となる栄養素は、糖質の他に脂質やたんぱく質もありますが、糖質は最も速やかに燃焼するのが特徴です。
*インスリン
膵臓から分泌されるホルモンの一種。血液中のブドウ糖を細胞に送り込み、エネルギー源として利用できるようにします。血糖値を下げることができる唯一のホルモンです。
グリコーゲンの働き
運動を行ううえで欠かすことのできないエネルギー源となるのが、グリコーゲンです。グリコーゲンは、グルコース(ブドウ糖)が多数結合したもので、消化吸収されたグルコースがすぐに使われず、主に肝臓と筋肉に蓄えられたものです。必要に応じてグルコースに分解されて血液中に取り込まれます。
肝臓に含まれるグリコーゲンを肝グリコーゲン、筋肉に含まれるグリコーゲンを筋グリコーゲンといいます。
糖質が不足すると、肝臓や筋肉のグリコーゲン貯蔵量が減少し、疲労、筋力低下、低血糖、脳の活動低下を招きます。
食物繊維
体内では消化されにくく、1g当たり数kcal程度です。
消化を緩やかにしたり、満腹感を出すなど体脂肪を落とす際に有効なだけでなく、便秘や下痢などの改善にも影響します。
水に溶ける食物繊維を水溶性食物繊維といい、海藻類や野菜、果物に多く含まれます。
水に溶けない食物繊維は、不溶性食物繊維といい、穀物、根菜類、豆類などに多く含まれます。
糖質と食物繊維の摂り方
身体と脳を動かすエネルギー源となる糖質は、お米、パン、うどん、パスタなどの穀物、いも類、果物などに多く含まれています。
糖質の1日の摂取量の目安は、1日の必要エネルギー量の約60%とされています。
糖質を多く含む食材
お米、食パン、うどん、そば、パスタなど、主食に糖質が多く含まれています。
食物繊維を多く含む食材
豆類、野菜、果物、こんにゃく、海藻類などに多く含まれます。
食物繊維の1日の摂取量の目安は、成人男性20g以上、成人女性18g以上とされています。
食物繊維の効果的な摂取方法
食物繊維には様々な働きがあり、コンディションを整えるために必要です。不足しやすい栄養素であり意識してとりたい栄養素ですが、消化が悪いため運動前は避けるようにします。
『体脂肪を落としたいとき』
体脂肪を落としたい人にとって、食物繊維は役に立つ栄養素です。
コレステロールなどの脂質の吸収をおさえ、体外へ排泄を促します。食物繊維を多く含むごぼう、レンコン、こんにゃく、しらたきなどは大きいわりに低カロリーなので満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐことができます。
また、胃腸を通過する間に水分を吸収してボリュームが増し、大腸を刺激して排便を促します。
『腸内環境を改善したいとき』
人の腸には、約100兆個もの細菌がすみついています。この腸内細菌は、腸内の病原菌や有害菌を排除したり攻撃したりして増殖をおさえる免疫の働きをしています。
腸内細菌のなかで免疫を高める働きをするのは、*乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌といわれるものです。
腸内環境をよくするためには善玉菌を増やすことが大切で、そのためには乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや納豆などを摂ること、もうひとつは食物繊維を摂ることです。食物繊維は胃や小腸で消化吸収されず、そのまま大腸までいき、善玉菌の餌となって数を増やそうとします。
*乳酸菌
大腸で、腸内のほかの善玉菌を活性化させ、悪玉菌の増殖をおさえます。ヨーグルト、チーズ、キムチ、ぬか漬けなどに多く含まれています。