全身持久力トレーニングは、持続性トレーニング、インターバルトレーニング、レペティショントレーニングに大きく分類されます。それぞれ効果が異なるので、目的に合わせて上手に使い分けることが必要です。全身持久力の必要性と、各トレーニングの特徴について紹介します。
目次
全身持久力を高める必要性
全身持久力はスタミナや粘り強さのことをいいます。長時間身体を動かすことのできる能力で、長時間一定のペースで走る運動だけでなく、あらゆるスポーツにおいても終盤まで良いパフォーマンスを維持するために非常に重要な能力です。
全身持久力には心肺機能の高さが大きく関わっており、最大酸素摂取量(VO₂MAX)という指標によって評価されます。
最大酸素摂取量(VO₂MAX)が多い人は、持久系のスポーツに有利なだけでなく、心血管系疾患の死亡率が低いことが明らかにされています。全身持久力を高めることは、健康な身体づくりにも役立つのです。
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持続性トレーニング
長時間走り続ける有酸素系持久力のトレーニングです。
一定の時間を走る「時間走」と一定の距離を走る「距離走」があり、比較的低い強度で行います。
持続性トレーニングは、運動強度や目的によっていくつかの種類に分けられます。
LSD(ロングスローディスタンス)
楽に会話できるゆっくりしたペースで走ります。
ボリュームを重視したトレーニングなので、長距離、長時間を走ることが大切です。
あらかじめ走る時間を設定して、最初から最後まで止まらずに、同じペースを保って走り続けます。トレーニング量の目安は60分以上、3時間以内です。
心肺機能、筋力を高め、少しでも長い距離や時間を走れるようになることが目的です。脂肪をエネルギー源とするので、脂質の代謝向上の効果があり、グリコーゲンを節約する能力を上げることにもつながります。
ペース走
一定の距離を同じ速度で走るトレーニングです。最高心拍数の70%~90%が強度の目安となります。
AT値(無酸素性作業閾値)やLT値(乳酸性作業閾値)の向上、ペース感覚を身につけることが主な目的です。
このトレーニングでは、AT値(無酸素性作業閾値)を超えないようにすることが重要なので、強度を上げる場合は、速度を上げるよりも距離を延ばします。
ビルドアップ
ゆっくりとしたペースから段階的にペースアップをして、最後は速いペースで長距離を走るトレーニングです。一定の時間や距離でペースをあげていくように強度を設定します。
有酸素性持久力向上、無酸素性持久力向上、そしてスピードアップに同時に効果があります。
インターバルトレーニング
中~高強度の運動と短い休憩を繰り返し行うトレーニングです。短期間で効率的に筋力、全身持久力、心肺機能を強化できます。また、最大酸素摂取量(VO₂MAX)、LT値(乳酸性作業閾値)やAT値(無酸素性作業閾値)の向上に効果があります。
インターバル走
疾走(非常に速く走る)と 緩走(ゆっくり走る)を交互に繰り返すトレーニング方法です。心拍数に緩急をつけることが大切です。疾走では、80%の強度で走り心拍数を上げ、緩走では上がった心拍数を下げるためにゆっくり走る必要があります。
走る距離、セット数が多いほど強度が高くなります。
・ショートインターバル
200m~600mの短い距離で行います。ランニングフォームの確認にも有効です。
・ミドルインターバル
800m~2000mのやや長い距離で行います。最大酸素摂取量の向上や乳酸活用能力の向上が期待でき、スピードの持久力の向上に効果があります。
・ロングインターバル
2000m~5000mなど、長い距離で行います。強度が高く、ボリュームも多いトレーニングなので、上級者におススメです。
HIIT
高強度インターバルトレーニングの略で、高強度の運動と短い休憩を繰り返し、短時間で身体を限界まで追い込みます。一般的に、タバタ式(20秒運動・10秒休憩・8ラウンド・数セット)が使われています。最高心拍数に近い強度で行うことが大切です。
最大酸素摂取量(VO₂MAX)の向上、筋力・心肺機能の強化、脂肪燃焼(アフターバーン)などに効果があり、短時間・小スペースで効率的にトレーニングができます。
エアロバイクや全力ダッシュなどのスピード系、バーピーやマウンテンクライマーなどの全身運動系、そして懸垂や腕立伏せなどの筋力系まで目的に合わせて幅広く行うことができます。
レペティショントレーニング
全力疾走と完全休息を繰り返すトレーニングです。
300m~2000mの全力疾走と、5分~15分の休息による完全回復のサイクルを数セット繰り返します。疾走距離の合計がレースの距離以下になるように設定します。
最大スピードアップ、スピード持久力アップ、乳酸耐性の向上が主な目的です。インターバル走との違いは、強度と休息時間の長さです。レペティショントレーニングでは、全力、もしくは全力に近い強度で走ること、そして引き続いて全力疾走できるための十分な休息時間をとることが大切です。
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まとめ
全身持久力トレーニングの分類について、ランニングベースのトレーニングを中心に紹介しました。
種目によっては有酸素運動と無酸素運動を組み合わせてトレーニングしますが、実行するには優れた運動体力が必要なので上級者やアスリート向けです。
トレーニング初心者や健康維持が目的な人は、LSD(ロングスローディスタンス)を中心にトレーニングを組み立てて、徐々にレベルを上げていくことをおススメします。