日本代表の永遠のテーマである「決定力不足」。
チャンスの数が多ければ、それほどゴールの確率は上がります。しかし、チャンスの数に対してゴール数が少ないと「決定力不足」という問題点が浮かび上がります。日本人の感覚として、いいサッカーをしているのに勝ちきれないという感覚が蔓延しています。それは、決めるべきところで決められないことが原因でしょう。
なぜゴールを決められないのか。決定力不足の原因について検証します。
目次
決定力不足とは?
日本サッカーの永遠のテーマである決定力不足。30年前も今も同じ課題が浮き彫りになっています。
多くの人はスーパーストライカーが出てきて、メッシやクリスティアーノ・ロナウドのように通算何百ゴールも獲ってくれることを望んでいるのではないでしょうか。
しかし、日本の抱えている決定力不足とは、そのような問題ではありません。不可能を可能にする選手が現れることではなく、決めるべきボールをきちんと決めることが求められているのです。「チャンスはたくさんあるのにゴールが少ない」というのが日本が30年以上抱えている課題です。
当然ながら、サッカーは相手との得失点差で勝敗が決まります。失点をしなければ負けることはありませんが、得点をしなければ勝つことはできません。
いいサッカーをしても、どれだけポゼッション率が高くても、得点がなければ意味がありません。人々の感覚の中に、いいサッカーができているという感触があるからこそ、結果が伴っていないのが納得できないのです。
なぜ日本人の決定力不足は改善できないのでしょうか。
プロセス主義か、結果至上主義か?
日本人の、結果よりも過程を重要視する国民性が影響しているのではないでしょうか。学校でも会社でも、あらゆる評価が過程重視なので、プロセス主義が国民に浸透しています。ある目標に対して、どのような道筋で歩んでいくのか、過程こそが重要であり、結果はおのずとついてくるものという考え方が主流です。結果に関係なく、一歩一歩進んでいく姿勢が評価基準なのです。勤勉な国民性ならではの素晴らしい姿勢で、日本人の誇れる姿です。
それに比べて欧米、特に南米などでは、結果至上主義です。目に見える結果がすべてで、過程はそれほど重要ではありません。「結果のために手段は選ばない」という考え方が浸透しています。「結果に効率よくたどり着くこと」こそがインテリジェンスで、プロセスは重要視せず、シンプルに結果を出すということに全力で取り組みます。
それらの思想をサッカーに当てはめるとどうでしょうか。「結果=勝利」「プロセス=内容」と考えると、極端に言えば、より勝利にこだわるのが欧米人で、内容にこだわるのが日本人です。
誰もが結果が大切なことはわかっていて、ピッチに立ったら結果を求めて全力で戦うのですが、大事な時に、潜在的に日本人のメンタルの根深いところにあるプロセス主義が無意識に現れてしまいます。
もっと細かくみると、「結果=ゴール」「プロセス=シュートまでの過程」とすると、プロセス主義の日本人はシュートまでの過程で満足して、肝心なフィニッシュの場面で気を抜いてしまうという所があります。せっかくシュートまで完璧な動作をしても、それでやり遂げた感を得てしまって本来目的であったゴールへの執着が薄まってしまいます。
結果主義者は、ゴールを決めてこそ意味があると潜在的にわかっているので、シュートまでの過程に意味はなく、ゴールこそが全てです。フィニッシュの場面で集中が途切れることなく確実に結果を出す能力があるのです。
外国人に比べて、日本人のゴラッソ(スーパーゴール)は少ないですよね。
例えば、5人抜きしてしっかり決めるのが外国人で、5人抜きして決めれないのが日本人です。5人抜きする技術があれば、シュートを決めるぐらい簡単なことです。違いは5人抜いた時点で満足してしまうかしないかの問題です。
決定力を上げるために必要なこと
フィニッシュ時の緊張感
プロセス主義と結果至上主義の話をしました。結果至上主義の世界ではフィニッシュの良し悪しが大きな批判の的となるのです。その中で、フィニッシュの緊張感というのは大きくなります。
南米では、シュートを外して「ドンマイ」「ナイストライ」という言葉は存在しません。シュートは決めるもので、プレーを終わらせるためでも、外してるのに褒められることでもありません。
もちろん例外もあります。状況によっては、カウンターを食らわないために可能性のないシュートを打つことも、相手の意表をついて一か八かに賭けることもあるかもしれません。しかし、それは他に選択肢がないときの、最後の「仕方ない策」であって、1%でも他に良い選択肢があるなら、シュートを外していいことはないです。
決定的なチャンスを外したフォワードは、致命的なミスをしたキーパーやディフェンダーと同じように批判されるべきです。1得点も1失点も同じ価値があるとしたら、決定的なチャンスを逃すのは、1失点と同じ価値があります。
南米では、キーパーとの1対1は決めて当たり前で、外したときの批判はペナルティキックよりも大きいです。
例えば、2014年ブラジルワールドカップの決勝でキーパーとの1対1を外したアルゼンチン代表のセンターフォワード、ゴンサーロ・イグワインは大きなバッシングに遭い、8年経った今でもその場面が批判的に取り上げられます。勝てばすべて結果オーライですが、負けたときに最初に批判の的になるのです。
シュートに行くまでの過程でどんなにいいプレーをしても、たとえ勝っていても、シュートを外して監督やチームメイトから褒められることはないです。
サポーターもメディアもフィニッシュに関してとても厳しい目でみているので、よりプレッシャーがかかります。
そんな環境の中でプレーしている外国人選手は、フィニッシュの技術や身体能力の前に、メンタルが強いのです。常にプレッシャーのかかる状況で、フィニッシュの重要性を叩き込まれています。
日本でも同じように、ただ決定力不足を嘆くのではなく、フィニッシュに対してもっとシビアになっていいと思います。チーム内だけでなく、メディアやサポーターも、いい意味で寛容ではなく、厳しさを持ってほしいです。
シュートのアイデア
シュート能力を見極めるうえで、シュート精度だけを見ていても判断はできません。シュートにいくまでの一連の動作が、「シュート能力」として見なければ、シュート精度だけを一生懸命磨いても、試合でシュートが打てなければ意味がありません。
決定力のある選手は、ただボールを待っているだけではなく、自らいい状態でシュートが打てる状況をつくるがうまいのです。偶然に見えても、すべて計算されていて、シュートチャンスは起こるべくして起こっているます。
そこで必要なのが、アイデアです。どんなに技術がある選手でも、アイデアがなければ宝の持ち腐れをしてしまいます。
ボールを受けるまでにシュートアイデアが2~3個浮かんでいるぐらいでないと、特にペナルティーエリア内では、シュートまでいく前に相手にボールを突っつかれてしまいます。シュートまでのイメージが出来上がってないままボールを受けて、とりあえずボールを止めて、それから考えても遅すぎます。
例えば、オーバーヘッドやヒールでゴールを決める選手は、実行できる技術もそうですが、完全にアイデア勝ちです。普通ならバックパスやポストプレーで終わってしまうボールもゴールに変えてしまうのです。
そこまで高難度のプレーではなかったとしても、ゴールに近づけば近づくほどキックフェイントが有効になります。ボールを受けた時点で、キックフェイントからシュートまで、一連の動作がすべてイメージができたうえでトラップできれば、それもアイデア勝ちです。
「打つぞ、打つぞ」の動作で本当に打ってしまうのが正直な日本人ストライカーで、「打つぞ、打つぞ」の動作で打たない、「打たないぞ」の動作で打つのが、ずる賢い外国人ストライカーです。
シュートを打つふりしてキックフェイントをいれたり、パスを出す素振りをしてシュートを打ったり、アイデアを駆使して、正直にプレーをしない工夫がなければ、フィニッシュまでいくことすらできません。
フィニッシュ場面では、なによりもアイデアが必要です。通常のイメージに、どれだけプラスアルファを加えられるかがカギです。
シュートのバリエーション
日本人のサッカー技術は世界でもトップクラスです。基礎練習に基づいた確かな技術は疑う余地はありません。
シュートに関しても、狙った場所に打つこと、ミドルでもロングでも正確に狙うことができます。しかし、それはシュート練習での話で、試合では別の話です。
実際の試合で、相手からのプレッシャーもなく、狙ってシュートが打てる場面はセットプレー以外にはありません。試合のスピード感と強度でどれだけ正確なシュートが打てるのか。そしてなにより、どれだけシチュエーションに適したシュートが打てるかが重要になります。
言い換えると、どれだけシュートのバリエーションを持っているかということです。
「シュートはインステップで打つもの」と決めつけられて育ってきたら、インステップでしかシュートが打てなくなります。
トーキック、インサイド、アウトサイド、ヒールなど、ボールを蹴るのに使える部分はいくらでもあるのに、自分の知っている打ち方でしかシュートが打てないのは時間もスペースもないシュートの場面では不利になります。
また、使う部分だけでなく、蹴り方についてもバリエーションがあると有利です。振りの速いシュートなのか、コンパクトに打つシュートなのか、大きいモーションなのか、小さいモーションなのかなど、同じシュートでも動作の違いでフェイントとしても使えます。
そして、どんな軌道で打つのか。カーブ、ストレート、ループなど、状況に合わせてどんなシュートを打つのかを臨機応変に適応できる選手が、より得点確率が上がります。
今の時代、両足蹴れるだけでは足りません。両足で、いろんな蹴り方が実践的にできる必要があります。
シュートのバリエーションは、より実践的なシュート練習でしか培うことのないスキルです。さまざまなシチュエーション(状況)とそのソリューション(解決)を実践的にたくさん経験することによって、自然とスキルのレパートリーが増えていくのです。
基礎練習はいいですが、小さい頃から基礎練習に固執してまうと、応用力がなくなります。シュート能力を高めたいなら、より試合に近いシチュエーションで、実践的なシュート練習を設計するべきです。
プレッシャーもなく、ただドリブルや壁パスをして行うシュート練習は、サッカーをはじめたばかりの子どもにシュートを教える際、もしくは、選手のレクリエーションやウォーミングアップにしか有効ではありません。
キーパーとの駆け引き
ゴールを決めるには、最後の砦であるキーパーを突破しなければいけません。当然ながら、キーパーのレベルが上がれば上がるほど、単純なシュートでは入らなくなります。
トップレベルでは、ゴールはゴラッソ(スーパーゴール)かラッキーゴールしかありません。そこそこのシュートは全部とられてしまいます。だからこそ、完璧なシュートを打たない限りゴールは生まれません。
すべてのシュートを四隅に完璧に打ち込むことは不可能でしょう。しかし、キーパーと駆け引きができれば、少しでもゴールの可能性を高めることができます。
キーパーもある程度山を貼ります。味方ディフェンダーの位置、アタッカーの態勢やボールの持ち方、そして目線を見て予測して動いています。
そこで大事なのは、目線です。目線は大きなフェイントになります。目線フェイントをうまく使えていないからキーパーに読まれてしまうのです。フォアに打つフリをしてニアに打つ、サイドに打つフリをして股抜きを狙う、下を狙うフリをしてループを打つなど、動作だけでなく目線も合わせて使えると、キーパーとの駆け引きで裏をつくことができます。
キーパーもいろいろな駆け引きを仕掛けてきます。1対1ではボールに目線を落とした瞬間に一気に距離を縮めてきたり、手の動きで大きく見せようとしてきたりします。
目線だけではなく、キックフェイントやタイミングをズラすなど、こっちからも積極的に駆け引きを仕掛ける余裕が必要です。別格の選手には、ゴール前での「”秒”を持っている」という表現がされます。普通の選手ならそのまま打ってしまうところを、別格の選手は打つ瞬間に0.5秒の間を持つことができるのです。言い換えれば、普通なら「1.2.3」で打つのですが、別格の選手は「1.2.(2,5).3」で打てるということです。その0.5秒の間がキーパーにとって致命的なタイミングをズラすフェイントとなります。
リオネル・メッシのキーパーとの1対1の場面はわかりやすいと思います。打つ瞬間に必ず小さなフェイントを入れて、キーパーのリアクションを瞬時に見てからシュートを打っています。超人的ですが、それを0.5秒の間にしているのです。
もちろん、駆け引きをしすぎてシュートが遅れてしまって、ブロックされてしまったら意味がありません。でも、状況に応じて目線やフェイントを積極的に使って、せっかくのチャンスボールをキーパーにプレゼントしてしまわないようにする工夫が必要です。
自分の得意なカタチをつくる
決定力を語るうえで、自分の得意なカタチを持っている選手は強いです。
わかっていても決められてしまう、得意なカタチに入ってしまったら太刀打ちできない選手がいます。
例えば、リオネル・メッシやフェリペ・コウチーニョはストライカーではないですが、自分の得点のカタチを持っていますよね。カットインしてからのシュートはわかっていても止められません。それほど達悦した超人的な技術なのです。
その他にも、古い世代ではラウール・ゴンサーレスのループシュートやロナウド・ナザーリオのシザースからのシュートなど、その選手を象徴するフィニッシュのカタチがあります。
勝負どころで迷わず繰り出せる自分のカタチがあるのは、大きな武器です。自分のカタチに入ればゴールの確率が一気に上がります。そして、味方もそのカタチに持っていける演出をしようとします。また、相手もそのカタチを警戒して対策をしてくるので、他に綻びが生じることもあります。
個性のあるフォワードは魅力的です。魅力的なだけではなく、彼らの得意なカタチに入れば、ゴールがある程度保証されているという強みがあります。チームとして、そのような選手がいるメリットはとても大きいです。
日本では、長所を伸ばす教育より、短所を克服する教育が主流です。目指しているのは”平均的”であって、”個性的”ではありません。
サッカーでも、平均値を求めすぎると個性がなくなってしまいます。誰になんと言われようと、これなら絶対に負けないという自分のゴールのカタチを磨いて持っておくことは、大きな武器になります。
瞬発力
技術やメンタルとは関係なしに、単純にフィジカル的な問題があります。特にフォワードには、圧倒的に瞬発力が必要です。
瞬発力とは、ただ速いだけでなく、爆発的なスピードとパワーを合わせたものです。スピードだけあっても、パワーがなければ押し負けてしまいます。手をかざされただけでバランスを崩してしまっては、スピードも無意味です。パワーだけあってもスピードがなければ相手を振り切ることができません。
点を取るということを最優先に考えた場合、フォワードの身体能力の中で一番重要なのは瞬発力です。背が低いストライカーはいても、瞬発力のないストライカーはいません。
一般的に、センターバックは身体能力が非常に優れています。ゴールをとるためには、相手センターバックを攻略しなければいけません。ゴール前ではどうしても人が密集する分、フィジカルコンタクトが多くなります。ゴールへの最後の一歩はフィジカル勝負になります。
瞬発力を上げることが得点力を上げるにつながります。
外国人選手に身体能力で劣る日本人が、決定力不足で悩むのは宿命かもしれません。ゴール前でのコンタクトプレーは避けられないのです。ロベルト・レバンドフスキやアーリング・ハーランドのような飛びぬけた身体能力を持つストライカーが日本から出るのは難しいでしょう。
しかし、チームの戦い方を変えれば克服できる壁もあります。日本人の決定力不足が顕著に現れるのはポゼッション率が高いときです。攻め込んでても点が取れないのは、ゴール前で競り負けてしますからです。でも、カウンターなら一番相手との接触なくゴールまでたどり着くことができます。
多かれ少なかれ、決定力不足にフィジカルが影響しているのは間違いありません。フィジカルは劇的には変えられないので、限界があるのも事実です。
大事なのは、長所や短所を踏まえてどうゴールを取りに行くかです。
身体の使い方
ゴール前のような小さなスペースでは身体の使い方が重要になります。飛び抜けた技術がない限り、相手をスルスルすり抜けてフリーでシュートを打つことはできません。
ディフェンダーは必ず身体をぶつけてきます。シュートを打つまでのどこかでフィジカルコンタクトをしなければいけないので、身体をどのように使ってそこの戦いに勝つかを考える必要があります。
まず、腕の使い方が大事になります。せっかく腕2本あるのに、使わないのはもったいないですよね。腕1本使うだけで相手と1メートルの距離をとることができます。
動きの中で自分がより良い態勢でシュートにいくためには、腕で相手をブロックする必要があります。ボールキープする際のブロックという感覚よりは、相手を突き飛ばすイメージでのブロックです。大げさに言えば、ラグビー選手が相手のタックルをブロックする攻撃的な腕の使い方に似ています。
例えば、元アルゼンチン代表のセルヒオ・アグエロはストライカーなのに上背は170センチ程度しかありません。190センチ台のセンターバック相手に当たり負けしませんし、バランスも崩しません。普通にぶつかり合ったら当然負けますが、彼の腕の使い方で競り勝っているのです。
シュートを打つ直前のフィジカルコンタクトで、どれだけ腕をうまく使って相手を振り払えるか、それでシュートの精度が変わってきます。
また、もしボディバランスを崩してしまったら、シュートを打たないことです。無理な体勢でシュートを打っても、ゴールする可能性は非常に低いです。ゴール目の前なら、体勢が悪くても無理矢理押し込みますが、それ以外のシュートは、自分の体勢がいいときに打つべきです。
無理な体勢でシュートを打ってボールを無駄にしてしまうなら、もっと体勢のいい味方を探してパスを出すほうが、ゴールの可能性は上がります。
強靭なメンタル
決定的なチャンスの場面で、技術やフィジカルよりも大切なのは、実はメンタルです。
「決めるべきところで決める」というのは、言い換えれば「簡単に決められるゴール」です。洗練された技術や飛び抜けた身体能力など必要のない単純なフィニッシュを確実に成功できるか、それで決定力が変わります。
普段なら決められるボールをなぜ大事な場面で決められないのでしょうか。プレッシャーがかかればかかるほど身体が強張り、普段のプレーができなくなります。
また、ゴールを決めたいという気持ちが強ければ強いほど、実際にチャンスが訪れた時に空回りしてしまうこともあります。
メンタルがプレーにどのぐらい影響するのかは、選手それぞれ異なります。しかし、確実に言えることは、チャンスの場面で「外したらどうしよう」という気持ちを持っているか「決めてやる」という気持ちを持っているかでは、結果に天と地の差があるということです。
責任感が強い選手ほど、「期待に応えなければいけない」「失敗したらどうしよう」という気持ちにとらわれる傾向があり、楽観的な選手ほど「決めたら自分のおかげ、外したら周りのせい」「決めたらラッキー」などと、ポジティブ思考を持っています。
これまでたくさんの”点取り屋”を見てきましたが、どちらが点取り屋に向いているかというと、後者の楽観的な選手です。ストライカーというのは、そういうものです。自分勝手なエゴイストでいいのです。
例えば、クリスティアーノ・ロナウドは「外したらどうしよう」なんて一切考えていまないように思えます。むしろ、チームメイトがチャンスボールを外すと大げさに責め立てるのに、自分が外しても「自分は悪くないよ」みたいな表情をします。絶対的な自信があり、プレッシャーをいい方向に受け流しているように見えます。
プレッシャーがかかるのは誰でも同じことですが、そのプレッシャーをどう受け止めるのかによって身体の反応が変わってきます。プレッシャーを楽観視できるのはメンタルの強さでもあります。
決定的なチャンスの場面でも、気負いせずに平常心でフィニッシュできる精神力が必要です。
まとめ
決定力不足にはさまざまな原因が挙げられます。
その中でも、日本人の課題は技術レベルではなく、技術や能力の使い方のように思えます。戦略面、フィジカル面、メンタル面をいかに充実させて、持っている技術を最大限に活かせるか。フィニッシュの概念を切り替えて、シュート精度をひたすら上げるトレーニングから、どのようにシュートを打つかをテーマにしたトレーニングにシフトチェンジする必要があります。
ゴール前の攻防は、サッカーで一番面白い部分であると同時に、一番難しい部分でもあります。通常のプレーに加えてプラスアルファのアイデア、フィジカル、メンタルが必要なことを理解し、決定力向上に取り組みましょう。
育成年代では、とにかくたくさんのシュートシチュエーションを経験させることが大切です。100回シュートチャンスがあれば、100通りのシュートシチュエーションがあり、全く同じカタチは存在しません。
選手たちはなるべく多くのシュートシチュエーションを体験をしてレパートリーを増やしていきます。
同じシュートシチュエーションを100回練習するより、100通りのシュートシチュエーションを1回体験するほうが得るものが大きいのです。
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