【サッカーのヒント】コーディネーション能力とは…?

サッカーにおいて最も重要な能力の1つといわれるのが、コーディネーション能力です。どんなにフィジカルを鍛えても、コーディネーション能力なしにはサッカーはできません。サッカー選手に必要なコーディネーショントレーニングについて解説します。

コーディネーショントレーニングとは?

コーディネーション能力とは、「自分の身体を自由自在に操る能力」であり、コーディネーショントレーニングとはそれを高めるためのトレーニングです。

コーディネーション能力は7つの要素から成り立っており、運動をするための基礎となっています。球技などのスポーツと深い関係を持っており、「運動神経の良し悪し」は、「コーディネーション能力の良し悪し」だと言っても過言ではないです。

ジュニア期では、身体と脳・神経系統のバランスのよい発達を促し、成人期では運動を円滑、そして正確に行うスキルを向上させます。

コーディネーショントレーニングで大切なのは、動作そのものの強さや速さではなく、頭と身体の連携です。新しい技術の習得や洗練を円滑にする「基礎づくり」が目的です。

定位能力

知覚の働きによって方向や距離、あるいは位置関係を察知し、それに合わせて身体の姿勢や動きをタイミングよく方向づけ、全身を巧みにコントロールする能力です。空間認知能力ともいわれています。

サッカーの定位能力

スペーシング
「自分がどこにいるのか?」「味方や相手がどこにいるのか?」などといった、空間の位置関係の把握に必要となる感覚です。

  • 的確なポジショニング
  • ボールの軌道や落下地点の素早い予測
  • ボールとゴールと自分の位置関係を常に把握する

変換能力

変化する状況に合わせて、最適な動きをつくり出す能力です。

サッカーの変換能力

トランジッション
さまざまな状況に応じて適切にアクションしたり、相手の動きにスムーズに対応するスキルです。

  • 素早い攻守の切り替え
  • 相手のドリブルに対応するディフェンス
  • 相手の動きに合わせながらフェイントをかけてドリブルをする

リズム能力

音楽や手拍子など、外側から与えられたリズムを自分の中に取り込んで、身体の動きに転化させたり、あるいはリズミカルに身体を動かしたりして、イメージ通りの速さとタイミングでスムーズな動きをつくり出す能力です。リズム感覚ともいわれています。

サッカーのリズム能力

リズム・タイミング・テンポ
スピードやリズムなど、味方や相手の情報をうまく感じとり、体内で同調させる時間的な感覚です。

  • 味方からボールをもらうタイミング
  • 相手を抜き去るドリブルのリズムとタイミング
  • 相手のマークを外すタイミング

反応能力

目や耳で察知したシグナルや情報に対して、敏速かつ的確に反応し、素早い動きを実現させる能力です。反射神経とも深い関係があります。

サッカーの反応能力

リアクション
1つのシグナルに反応する「単純反応」と、複数の選択肢に対して反応する『複合反応』があります。激しい攻防が繰り広げられるサッカーでは、複雑な情報処理が要求されるので、より多くの情報や状況を把握しながら動く複合反応能力が必要です。

  • キーパーがシュートセーブする素早い反応する
  • 味方のスルーパスに素早く反応する
  • 味方の指示や合図にスピーディーに反応する

バランス能力

全身を平衡に保つことで、自らの姿勢を維持したり、一度体勢が崩れた状態から、再びバランスのとれた状態へと、速やかに回復する能力です。バランス感覚ともいわれています。

サッカーのバランス能力

バランス
動きの中で体勢が崩れそうになっても、うまく平衡を保ちながら身体を思い通りに動かすためのバランス感覚です。

  • シュートやパスをするための軸足のバランス
  • ヘディングで競り合った後の着地のバランス
  • 相手とのボディコンタクトでのバランス

連結能力

全身の動きをうまく連動させたり、複数の動作を連続してスムーズかつダイナミックに行う能力です。

サッカーの連結能力

コンビネーション・コネクション
試合における多様な状況の中で、方向転換やジャンプなど複数の動作を連続してスムーズに行うスキルです。

  • ドリブル突破からのシュート
  • 走りながらボールをコントロール
  • ダッシュしながらスライディング

識別能力(分化能力)

目的に応じて、手足や胴体、頭など各部位の動きや力の入れ具合を調整しながら、目的とする運動を巧みに成し遂げる能力です。

サッカーの識別能力(分化能力)

グレーディング
身体を的確に動かして、ボールを適切な力加減で上手にコントロールするスキルです。サッカーでは、キックやタッチの感覚がそれに当たる大切な要素です。

  • パススピードを調節する
  • 正確なトラップをする
  • ドリブルでボールを巧みに扱う

コーディネーショントレーニングの効果

コーディネーショントレーニングは幅広い年代で活用できるトレーニングです。しかし、コーディネーション能力の基盤となる神経系の成長はジュニア世代が著しく、特に、5~12歳のゴールデンエイジと呼ばれる時期に鍛えるのはとても効果的だとされています。

効果① レディネスの形成

コーディネーショントレーニングによって、運動学習能力(運動習得のための前提条件)を効果的に高めることができるため、あらたに身につけようとする動きや技術をより短い時間で習得することが可能になります。

効果② ブラッシュアップ

すでに習得済みの技術にコーディネーショントレーニングを組み合わせることによってより高いレベルへと洗練させることができます。

効果③ 省エネルギー

コーディネーション能力を高めることによって、筋肉に秘められたパワーを最大限に発揮できるほか、筋肉同士の調和がはかられることによって無駄なエネルギー消費を防ぐことが可能になります。その結果、フィジカルパフォーマンスを最大限発揮できるようになります。

効果④ メンテナンス

コーディネーショントレーニングを行うことによって、脳に新たな刺激が加わり、脳内をリフレッシュすることができます。その結果、リラックス効果をもたらし、低下した気分や集中力を回復させたり、インスピレーションを活発化させることが可能になります。

効果⑤ ストロングポイントの発揮

コーディネーショントレーニングによって、潜在能力が高まるので、切羽詰まった状況に直面した場合でも、無意識のうちに高度に洗練された技術、体力、精神力などの要素を瞬時にまとめ上げ、その状況に応じたベストパフォーマンスを発揮できるようになります。

まとめ

サッカー選手の育成には最低12年かかるといわれています。18歳でプロになると仮定すると、最低でも6歳にはサッカーを始めていないとトップレベルの選手にはなれない可能性が高いのです。
しかし、万が一6歳でサッカーを始めなかったとしても、何らかの球技などのスポーツを経験していれば途中でサッカーに移行してもサッカー選手になる可能性は残されています。

それはどういうことかと言うと、幼少期のコーディネーション能力の発達が「選手育成の肝」となっているということです。サッカーをはじめとする球技スポーツではコーディネーション能力を高める要素が詰まっており、競技をしているだけでもコーディネーション能力を刺激していることになります。

筋力は大人になってからも十分に鍛えられますが、神経系の能力は幼少期でなければ十分な発達が見込めません。コーディネーション能力はあらゆる技術や動作の基本となるので、技術の上達はコーディネーション能力がベースになければ不可能です。

コーディネーショントレーニングを幼少期から積極的に行い、サッカー選手の育成に励みましょう。また、どの年代においても試合の前などはコーディネーショントレーニングによって神経系の刺激を与えて脳を活発化させることも必要です。